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『新妻LOVELY×CATION』 感想

「新妻LOVELY×CATION」(hibiki works)の感想です。

 

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http://www.hibiki-site.com/niiduma_lc/

 

主にネタバレ有りで、あるヒロインについての不満とシステム的なものについての2点に触れています。

 

ちなみに『CATIONシリーズ』が大好きな信者補正も多分にあるので真面目に額面通り受け取る人がいないことも承知です。共感できる人は共感してくれると嬉しいなぁ、と話半分に見ることをおすすめします。

 

 

昨今、バグ騒ぎなどで話題になった『新妻LOVELY×CATION』をコンプしました。

 

修正パッチ騒動も落ち着き、誰も話題にしないような時期が来て自分なりに楽しむのが一番心に余裕を持てるかと思っていたので、Twitterなどでよく騒がれているように文句を言わず、静観の姿勢を貫いていました。

 

個人的には発売日に完成されたものをやることができるのが一番だとは思いますが、修正パッチを出してくれるのなら、別に文句を言わずにいられるのかなぁと感じてしまったので、これもこの業界の不確かな部分に飼いならされてしまっているとも思ってしまいました。

 

さて、『新妻LOVELY×CATION』ですが、なんと『LOVELY×CATION』から続いてきた『CATIONシリーズ』最終作だそうで、まだまだこのシリーズを追っていきたいと思っていた身としては、一つのコンテンツの終了を見届けるような寂しさを覚えました。

 

前置きはこれくらいとして、果たして『新妻LOVELY×CATION』は『CATIONシリーズ』の最期を飾るべく相応しい作品だったのか、と幾つか個人的に感じたことを書いていきます。

 

 

 

 

 

  1. 愛子というヒロイン

まず、前提としてお話したいのが、ユーザー側がキャラクターとして求めるものと作者が意図したキャラクター性の違いによる評価です。何故、この点が気になったかというと、愛子さんのキャラクター(及びシナリオ)が自分にとって他2ヒロインに比べて満足度が少し低かったからだと思い、その考えに至りました。

 

 

 

 

 

 

シナリオライターの人が先に言及している通り「意外性のあるえっちを楽しむ」や「えっちシチュの指定」や「リアルさの追求」など愛子さんというヒロインには様々なコンセプトがあったそうです。

しかし、事前に公開されている情報は初恋編では、

心優しい保育士の女性。
面倒見が良く、母性に溢れており、子どもが大好き。
働き者で苦労も多いが、いつも笑顔を絶やさない。
のほほんとした性格だがしっかり者で、家事も得意。

 

 次に新妻編では、

家に帰れば温かく出迎えてくれる、心優しい妻。
実はマッサージが得意で、心も体も解きほぐして
くれる。その母性のあまり、ついつい何だって
してくれるが、少しずつ家事も分け合いながら、
仲睦まじい夫婦になっていく。

 

 と、明らかに一定層需要のある部分を求めて購入に踏み切ろうと思った人が多そうなものです。

もちろん「意外性」を追求するには、その需要を良い意味で裏切らなければありませんが、あくまでこれは『新妻LOVELY×CATION』という作品で、その最終作となる訳ですから、「想いを重ねて家族になるADV」と銘打つ新妻編では、安定したものを作らなければいけなかったと思います。

 

あくまでこのシリーズを追い続けてきた自分の考えですが、そもそも『新妻LOVELY×CATION』の持つ裏切ってはいけない(またはそこから逸れてはいけない)「特性」とは、何か。

まず、今までの『CATIONシリーズ』の自分が思う「特性」として、ずっと「初恋」の日々が続くことが念頭にあります。初々しさを忘れず、しかし、そこから永遠にその状態である訳もなく、初々しさを加味しつつ共に成長し、誰もが一般的に思う幸せをその先予想させるように描けることが一つあると思います。

そして、この『新妻LOVELY×CATION』は”新妻”という言葉のとおり、誰もが一般的に思う幸せの先を実際に本編内で描いています(描くべきです)。

もちろんその先というのは、ずっと続く安定した毒にも薬にもならない日常が続いていく訳で、そこに何かの不確定要素(ユーザーが思い描かないような状況)が介入する訳でないから、そもそも”意外性”は存在しないと思います。だから、自分は”意外”とは真逆の”当然”を意識した、「初恋の日々から続く、予想できて当然の幸せ」を「特性」として当たり前に求めていました。

 

ある種「意外性」を突くという行為はこの場合、悪い言い方になりますが、唯のユーザーの『CATIONシリーズ』への信頼感に対しての裏切りにしかなっていないように感じます。(特にエロシーンに顕著に表れていたような気がします)

 

 

 

 

そして肝心のシナリオですが。初恋編では「今まで告白されたことはあるが、片親で育ててくれた母親に対して恩返しもしたく、彼氏ができたとしてもそこまでの余裕があるのだろうか」など、少し親に対する遠慮などが見え隠れし、「お付き合い」など重要なワンステップに対して割と良いテーマ性がありました。

しかし、新妻編ではイベントが起きる度に「付き合って最初の年だし、主人公と過ごしたい」など、初恋編で新妻編の踏ん切りとなった部分が軽視されており、尚且つ他の日常シーンでも、親に対して何かアクションを起こすシーンが片手で数えられるくらいしかありませんでした。

 

次に一応新妻編のテーマとしては愛子さんが保育士ということもあり「子供」という部分に焦点が当たっていましたが、その点も「子供を持つ覚悟」という部分にしか焦点が当たらず、「リアルさの追求」には成功していたかもしれませんが、子供を作った後のことがあまり描かれていない為、シナリオ的には重みがなく満足度の低いものとして感じました。(実際第一弾のアペンドとして、その後の生活はありますが、一つの本編内のシナリオとして「リアルさの追求」を求めるなら、先に説明したテーマの使用は薄くなるので安易だったのでは、と感じます)

 

日常シーンでも、その点が引っかかり、更には「愛子と結婚して良かった」「この生活は本当に幸せだ」と言ったようなテキストが殆どの日常シーンに挿入されており、短い日常シーンが何個も続いているから、その幸福についてシーンとしてユーザー側に認識させるのが難しいことも分かりますが、流石に食傷気味になるほど挿入されているので、もうちょっと何とかならなかったのかなぁ、とは思いました。

 

 

今までのことを総括すると、自分は愛子さんに関しては『新妻LOVELY×CATION』として愛子さんというキャラクターをどうしたかったのかが分からなくなりました。『CATIONシリーズ』というフィルターを通すと、違和感が出てきてしまい、引っかかる部分があり、説明した何点かの不満が残った印象です。

これに関しては単純にライターとしての力不足や冒頭に言ったユーザー側から求められていたものを別の形で提供してしまったことによるものだと感じました。

 

余談ではありますが、もしかすると発売前に雑誌等の情報やTwitterなどの広告目的のある部分では「意外性」に触れていたかもしれません、そう言ったメーカーの意図を汲み取れなかったユーザー側に非がないとは言い切れないと思います。

 

しかし、多くの購入者は『CATIONシリーズ』という一種のブランドを信頼して買ったり、ヒロインのそのままの良さに惹かれて買うことが多いでしょう。「意外性」を出すのは気取られないことが大事ですので、そこを書くわけにもいかないのですが、何も周知させないのはその層が納得しないのも自明の理ですし『CATIONシリーズ』の愛子さんというヒロインで「意外性」という部分を出したのが、結局一番の敗因だったように感じます。

 

結論として、たまにある「メーカー側が○○○という意図で、そのヒロインやシナリオを作ったのにユーザー側が単純に嫌い(または求めていないものが来た)という理由で不当な評価を受ける」というユーザー側に非がある問題を少し思い出し、それに触れるような形で書きました。

シリーズものということもあって、全部が全部先の問題に適用できませんが、今回に関しては自分はメーカー側に非があるという立場にいることを自覚できました。

 

 

     2.ランダムイベントというシステム

今作ではランダムイベントというシステムが採用されており、そのランダムに発生するイベントの幾つかをクリアしないと発生しないイベントが出てきたりもします。難易度に関してはQS・QLを駆使すればそんなに高くないものの、やはり「ランダム」という弊害が少しあったかのように感じます。

 

まず、新妻編では雨が降っていた場合は「家で過ごす」というコマンドがあり、そこでえっちのシチュを増やす行動かランダムに発生するイベントが確実に回収できるようになっています。

しかし、ここで「家で過ごす」を選ぶと雨が降っているのにも関わらず、背景が晴れのままであったり、ヒロインに「雨の日の外出はどうします?」と事前に聞かれているのにも関わらず他の行動をしたりと、齟齬が発生して違和感を覚えます。

 

普段そこまで細かいことを気にしないのですが、やはり連続性の無い日常をどこまでユーザー側に「新妻編」として没入させるかはランダム要素を使用してるからこそ、細かい部分を排除して違和感なく生まれるものではないかなぁと思います

(要約すると、わざわざランダム要素を入れて違和感を出してしまうなら、往来のシリーズのようにステータスアップの側面を強くしたシステムに戻し、日常に連続性を持たせて違和感ないようにしましょうということです)

 

     3.最後に

こき下ろしてきましたが、他2人に関してはとても素晴らしく、「新妻編」でも真新しくもあり、『CATIONシリーズ』としても楽しめる日常を描いてくれていました。

ただ最終作ということで、より完璧なものを求めていたこともあり、不満点が出るとどうしても引っかかってしまいました。

騒動もあったことですし、最終作を撤回してもう一度完璧な『CATIONシリーズ』を作って欲しいものです。